鞍部玉緒の一生

十三機兵防衛圏

十三機兵防衛圏のキャラの一人、鞍部玉緒の一生を追いながら本作のストーリー解説して行きます。

 お淑やかで、誰に対しても優しい女性。柔軟な考え方ができ、友人より一足先に世界の違和感に気がつきます。

そんな彼女が謎めく世界に翻弄される、その軌跡を追っていきます。

用語集の方も見ていただけるとより分かりやすいかと。
また、本編において明確に語られていない部分については私の憶測を交えてお話ししています。
ですので間違っている場合もあるかと思います。是非コメントにていろんな意見をいただけると嬉しいです。
多少、便宜的な説明をしている部分もありますが、その点はご了承ください。

YouTubeの方に、このページの内容を動画にしたものもございますので、よろしければそちらもぜひ!

2188年の鞍部玉緒

人工知能の権威でした。
ナノマシン医療によって、見た目は若いですが、齢120の御仁です。

 2188年当時、地球ではナノマシン汚染事故によって人類の大半が死亡してしまっています。
汚染拡大はとまらず、とうとう生き残っているのは宇宙船のコロニーにいる15人だけになってしまいます。

 ここで残る15人は、通称箱舟計画を実行することになります。
箱舟計画の詳細は緒方編や冬坂編などでお話ししていますが、簡単に言えば、地球とは別の惑星で人間のクローンを作って繁栄させる計画です。

 新たな惑星で生まれた人類は、仮想空間で地球の文化を体験してから、その地で暮らしていくことになります。
 ただ、再び誤った道に進まないように、ナノマシン技術が発展する前の時代の文化を体験させることになりました。

 しかし具体的にどの時代を体験させるかは意見がまとまりませんでした。
そこで仮想空間を5つのセクターに分け、それぞれ20世紀前半、20世紀後半、21世紀前半、21世紀後半、22世紀前半の時代を割り当てることにしました。15人のクローンたちは5つのセクターに3人ずつ分けられ、それぞれの時代の文化を学びます。
 鞍部博士はこの仮想空間内に配置されるAIキャラクター600万人の人格作成を担当しました。

 ちなみに鞍部博士はこの箱舟計画の主任であった森村博士の恩師でもあります。なので彼女は計画の枠組み考案にも大いに貢献していましたと思われます。

 無事に箱舟は飛び立ちましたが、その後、コロニー内にも汚染が広がり、それによって鞍部博士は亡くなってしまいます。

現在の玉緒

そして現在、鞍部博士のクローンである彼女は、仮想空間内で地球の文化を体験しています。
彼女の出身はセクター5。20世紀前半です。

 玉緒は、日本軍の秘密兵器、機兵の搭乗員候補に選ばれた三浦、比治山を見送りに行くことになります。
 玉緒は三浦、比治山とは幼馴染です。彼女は、東京からきた堂路桐子という女性を誘って2人で来ました。

 これから2人は、機兵の格納庫へ向かうようです。玉緒は、なけなしの配給でもらった砂糖をふんだんに使ったおはぎを彼らに持たせ、彼らを見送りました。

そして後日、玉緒はスパイ容疑で憲兵に追われている関ヶ原瑛という男と出会います。

 彼は堂路桐子を追いかけて、未来の世界からやってきたそうです。さらに堂路桐子も同じくこの世界の人間ではないと言い出します。
 三浦は世迷言だと言ってつっけんどんな態度をとりますが、玉緒にはどうも彼の言っていることが嘘だと思えません。
 実は最近玉緒は妙な夢に悩まされています。その夢は妙にリアルで、まるで実際に自分が体験した出来事のようです。しかも桐子からは、君は未来から連れてこられた人間だと言われたことがあります。それで玉緒は自分の夢が未来の出来事なのではないかと考えています。
 なので関ヶ原が未来から来たと言うのなら、自分が見ている夢についても何か知っているかもしれないと思って、こうして彼を憲兵から匿っています。
 さらに詳しい話を聞こうとしますが、彼は堂路桐子を追いかけてどこかへ行ってしまいました。

 その後日、最近見た怪獣の夢の話を三浦の妹、千尋にしてあげました。千尋はその話を聞いて、怪獣ごっこを始め、家の柱を破壊してしまったようです。

 玉緒がこんな夢を見始めたのは、東京から来たと言う郷登蓮也と言う男から、薬をもらい始めたあたりからだそうです。
 実は郷登からもらっている薬は、記憶を移植するためのものでした。玉緒はそうやって薬によって移植された記憶を、夢として見ていたと言うことですね。

 移植されていたのは1ループ前の鞍部玉緒の記憶です。実はこの世界はダイモスという怪獣に襲われ、その度に何度もリセットされてループを繰り返しています。
 1ループ前の世界でも玉緒はそのダイモスに襲われ、戦っていました。千尋に話した怪獣の話というのはこのダイモスの話です。

郷登が玉緒に記憶を移植していたのは、おそらく彼女を機兵に乗せて戦わせるためです。

 ちょうどこの時空襲警報が鳴り、彼女らを防空壕へ避難することになりますが、これは米軍ではなく、ダイモスの攻撃です。

 後日、郷登から再び薬をもらいます。ただ、郷登は記憶の移植を中止し、今度はその記憶を封じる薬を玉緒に渡します。

 記憶を移植を中止した理由はわかりませんが、機兵計画に問題が生じたためだと思われます。
実際機兵は今、ウイルスに侵されて使えない状態になっています。

そして後日とうとう、このセクター5へダイモスが本格的に侵攻してきます。

三浦は千尋を玉緒に託し、ダイモスと戦うため機兵の元へ向かいます。

 玉緒は千尋を連れて防空壕に避難しようとしましたが、突如郷登が立ち塞がり、千尋が攫われてしまいました。

 おそらく玉緒はその後避難したと思いますが、ダイモスの攻撃は苛烈を極め、あたりは完全な廃墟となってしまいます。

 数日経った後、三浦が救出に来ましたが、時すでに遅し、すでに玉緒は衰弱し切っており、最期に千尋が攫われたことを告げ、力尽きてしまいます。

ただ本当に亡くなった訳ではなく、この世界から出て現実世界に戻りました。

これだけだとちょっと話が短いので、1周前の玉緒の活躍についてもご紹介いたします。

1ループ前の鞍部玉緒

 時は1ループ前に遡ります。場所はセクター4、彼女たちは、森村千尋、井田鉄也たちと共にダイモスと戦っていましたが、圧倒的な物量を前に敗北し、この世界はリセットされようとしています。

 リセットの直前、彼らはセクター0という場所に転移することにします。セクター0は唯一リセットされない場所で、ここに自分の記憶データを避難させれば次のループにいくことができます。

 しかし転移の最中、事故が発生し、彼女のデータは正常に保存されませんでした。この時事故に巻き込まれたのは、三浦、比治山、玉緒、如月の4人です。なのでこの4人は次のループに行くことはできませんでした。

 次の周回が始まってから数年後、井田はセクター0に一部保存できていた記憶データをもとに、彼ら4人の記憶を持つAIを作りました。

 こうして鞍部玉緒はタマオというAIとして復活します。そしてこの周回こそ、ダイモスに勝利するために、機兵を作って戦いの準備をしていきます。

 そして、ついにセクター2でダイモスたちにリベンジします。タマオは18番機兵に組み込まれ、戦闘に参加します。ちなみに同じくAIとして復活したキサラギは16番、ミウラは17番、ヒジヤマは19番機兵に組み込まれています。

 激しい戦いが続いていましたが、突如暴走してしまい、操作できなくなってしまいます。原因はDD426というウイルスプログラム。これが何者かによって拡散されました。森村は、皆を避難させるため、全機兵を強制転移させます。

 タマオの18番機兵はどこに飛ばされてしまったのかわかりませんが、AIだけは回収され、再び機械の体に入れられました。

 彼女は今、DD426の作用によって記憶を失ってしまった和泉十郎の治療にあたっています。
和泉はタマオによってに全く新たな人格と記憶を移植され、鞍部十郎として生まれ変わりました。十郎の治療は始めは森村が行っていましたが、タマオがやめさせました。
 理由は森村が十郎に危険人物426の記憶を移植して、426の復活を目論んでいたためです。426は以前森村と共に活動していた仲間で、2人は恋人同士でもありました。この時点で既に426は死亡していますが、森村は彼を諦めきれていません。
 途中まで426の記憶を移植したところで、タマオに気づかれ、中止させられたというわけです。

 タマオも一応、彼女の気持ちはよくわかった上で、かわいそうだとは思っていますが、426が過去に大量殺人をしたのは事実なので、彼の復活を見過ごすわけにはいきません。

 そして後日タマオは、和泉十郎の恋人であった薬師寺恵に会いにいきます。恵は十郎が記憶をなくしてしまったことが悲しくて泣いていました。

 そんな恵を気の毒に思ったタマオは、二つのことを条件に十郎の住んでいる鞍部家の賃貸契約書を渡します。1つ目の条件は、十郎を鞍部十郎として扱うこと。2つ目は彼が自分のことを和泉だと言い出したら報告することです。
 恵のことをかわいそうだと思ったのは事実だと思いますが、新しく移植した人格がきちんと定着しているかどうか、近くで監視してもらう意味もあったと思われます。

 それからしばらくしたある日、セクター2の戦闘で行方不明になったはずのAI、ミウラからの信号をキャッチし、北校舎の女子トイレにやってきたタマオ。

 そこにいたのはなんとあの凶悪犯426でした。彼も今は意識だけのAIとなっており、ドロイドのボディに入って潜伏していました。

 タマオは既にボロボロの426を一方的に叩きのめします。しかしとどめを刺そうとしたその一瞬の隙を突かれ、426にボディを乗っ取られてしまいました。

これで、残念ながらタマオのAIデータは完全に消滅してしまいました。

 タマオの体を奪った彼がこれから、何をするのか、何を企んでいるのかについては、426(和泉十郎編)にてお話ししようと思います。

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