井田鉄也の一生

十三機兵防衛圏

十三機兵防衛圏の主人公の一人、井田鉄也の一生を追いながら本作のストーリー解説して行きます。

 ハイスペックな頭脳を持ち、愛情深さも持っていますが、残酷にもなれるプレイボーイ。カリスマ性も持っており、自ら組織を率いて目的遂行のために動きます。

そんな彼が愛する人の手を握るため奔走する、その活躍を追っていきます。

用語集の方も見ていただけるとより分かりやすいかと。
また、本編において明確に語られていない部分については私の憶測を交えてお話ししています。
ですので間違っている場合もあるかと思います。是非コメントにていろんな意見をいただけると嬉しいです。
多少、便宜的な説明をしている部分もありますが、その点はご了承ください。

YouTubeの方に、このページの内容を動画にしたものもございますので、よろしければそちらもぜひ!

それでは本編へ参りましょう。

1周前の井田鉄也

時は、主人公達が活躍する世界から1ループ遡ります。場所はセクター3/2025年です。
彼の生まれたこの街は、突如ダイモスという怪獣に襲われ、壊滅状態になってしまいます。

 生き残った井田と、友人の如月は、ダイモスから身を隠しつつ、起こった出来事を整理します。この町に住んでいた人たちは、彼らの目の前で突然消滅してしまいました。これは、セクター3のユニバーサルコントロールがダイモスに制圧されてしまったためです。彼らが今いるのはユニバーサルコントロールというコンピューターに管理された仮想世界で、そこに住んでいる人々はある15人を覗いて、皆AIキャラクターです。

なのでユニバーサルコントロールが制圧された時点で、彼らは消滅してしまいました。

 突然怪獣が襲ってきた上に、一斉に人が消えるという奇想天外なことが立て続けに起こり、困惑していた彼らですが、井田は冷静に状況を分析しています。如月はそんな彼に感心しています。

 実は井田は如月のことが好きで、配信者として活動する彼女のことを熱心に応援していていました。如月も井田の応援のお陰で本格的に歌い手として活動を始めたようです。この時から2人は恋仲になります。

 そしてそこへ三浦慶太郎と森村千尋が駆けつけ、2人は救助されました。三浦はこの周回の人間ですが、森村はこの世界からさらに一つ前の世界からきた人間です。彼らはダイモスから世界を救うべく活動しており、井田と如月もその仲間に加わることになります。

 ダイモスとの決戦に備えて準備をしていた彼らですが、ある時凄惨な事件が起きてしまいます。
なんと森村と同じく前の世界からきた和泉十郎が、仲間達を次々と殺害してしまいました。

 犠牲になったのは、この周回で生まれた和泉、森村、沖野、関ヶ原、東雲、薬師寺の6人です。
井田も彼に撃たれ、重傷を負います。和泉十郎がなぜこんなことをしたのか。それはダイモスを呼び出すDコードの存在に気づいたからです。

 Dコードは主人公達15人のナノマシンに仕組まれています。なので和泉は彼らを全員殺害すればダイモスが来なくなると考え、このような凶行に走ります。

 和泉は井田にとどめを刺そうとしますが、そこへ森村が駆けつけ和泉を止めました。ただ殺してはいません。井田はこの時から彼に恨みを持つようになります。

 そして、その後ついにセクター4でダイモスと戦います。
彼らは98式二脚車両という兵器で対抗しますが、圧倒的な物量を前に敗北してしまいました。

 そしてこのセクター4のユニバーサルコントロールは制圧され、この世界がリセットされようとしています。リセットの直前、彼らはセクター0という場所に転移することにします。セクター0は唯一リセットされない場所で、ここに自分の記憶データを避難させれば次のループでそれを元に再生されます。

 98式二脚車両には転移ゲートと同じ機能が備わっており、2人はそれで脱出しようとします。
ちなみに、彼らの仲間である如月、三浦、比治山、玉緒の4人は一足先にセクター0に避難しています。

 ただ、原電接続のため森村はその場に残り、井田だけが脱出することになります。こうして世界を救うをという悲願は井田に託されました。

今周回の井田鉄也

 そして、セクター0に自分のデータを保存し、次のループで再生された井田。
そこで森村千尋と再会します。

 先ほど一緒にいた森村はセクター0にデータを保存できなかったので、この森村は1つ前のリセットの時にセーブされた森村です。
 井田は彼女と共に今度こそダイモスから世界を救うべく、準備を始めます。

 しかし井田は、あることに気づきます。彼らと共にこの周回に来ているはずの如月達がどこにもいません。
 井田は以前、自分達を皆殺しにしようとした和泉十郎がこのループにやってきて、彼ら4人を殺害したのだと考えました。

 そこで井田は、セクター0に保存されていた彼らの記憶を解析し、AIを作りました。
こうしてAIとして復活したキサラギと再会を果たします。

 状況が把握できないキサラギは、自分の体の状態に困惑しますが、なんとか彼女にこれまでの経緯を説明して落ち着かせました。

 しかし井田は愛する彼女を生身の人間として完全復活させたいと考えています。方法はこの周回で生まれた如月兎美のナノマシンに、彼女の記憶を上書きするというものです。
 そこで自分よりナノマシンに詳しい人物に話を聞きます。

その人物とは和泉十郎。自分のことを殺そうとしたあの人です。

 彼がリセットを超える時にセクター0に保存した記憶から、彼をAIとして復活させナノマシンに関しての情報を引き出そうとします。
 しかし彼が素直に情報をくれるわけもなく、井田は拷問を始めます。井田にも目的のためなら手段を選ばない一面がありますね。

 そこへ、キサラギがやってきます。彼女は、森村から如月兎美復活計画のことを聞いて井田を問い詰めにきました。

 彼女はもう1人の自分を犠牲にして生き返るなんてとんでもないと思っています。
なので井田を説得して計画をやめさせようとします。
 井田は複雑な思いでしたが、とりあえず和泉のAIを消去することにします。

 消去が終わり、その場を去りますが、実は井田の気づかぬうちに「消去」の設定が「転送」に変わっており、和泉十郎のAIはキサラギのボディに入ってしまいました。

こうして彼は自由の身となり、逃走します。

 その後、ことの次第に気づいた井田はもう一度キサラギのボディを用意しようとしますが、キサラギはそれを断り、機兵のAIに組み込んでほしいと言います。仕方なく井田は彼女のいう通りしますが、諦めることはできていません。

キサラギに内緒で、如月兎美の肉体に記憶を移すことにしました。

 ただ、キサラギ含め誰にも邪魔されないように、一度この世界はリセットさせて次のループで生まれる如月兎美に記憶を移植しようと考えました。
 そしておそらく、次の世界の井田鉄也にも自分の記憶を移植して、2人でこの世界から脱出しようと考えています。

ここから井田は、この世界をダイモスにリセットさせることを目的に動きます。

 それから4年後、セクター1の住人である沖野、セクター2の十人である郷登を仲間に引き入れ、さらに機兵を作ってダイモスとの戦いに備えます。ちなみに第一世代、第二世代の機兵を作ったのは井田で、第三世代を作ったのは沖野です。

 セクター1では機兵が間に合わず、街は壊滅してしまいましたが、セクター2こそはと思って彼らは準備を急ぎます。

 そしてついにセクター2にダイモスの侵攻が始まります。
新たに加わった和泉の活躍もあり、一旦はダイモスを退けることに成功します。

そしてその際、セクター2の機兵適合者である東雲涼子と関ヶ原瑛を救出しました。

 その後日、咲良高校で涼子先輩に話しかけられます。井田は表向き、この高校の教師として活動しています。
 涼子先輩は井田のことを一目見た時から気になっていて、その井田に助けてもらったことで完全に惚れてしまったようです。涼子先輩はその熱烈な思いを井田にぶつけますが、井田は困り果てています。

 そこへ涼子先輩の幼馴染の関ヶ原がやってきました。
彼は井田がなんとなく危険なやつだと感じており、涼子先輩には近づくなと警告します。

 しかし彼の思いとは裏腹に、彼女は井田に気に入ってもらうため、機兵に乗って戦うと言って井田の仲間に加わることを決めました。涼子先輩が心配な関ヶ原も、彼女が利用されないように見張るため、一緒に戦うことにします。

 そして後日、井田と森村は戦いに備えて今後の確認をします。
井田はもし負けたらリセットして、また次のループに逃げようと提案しますが、森村は反対のようです。

 森村はこの周回で決着をつけたがっており、もし負けたらイージス作戦を決行すると言います。
イージス作戦に関しては、関ヶ原編冬坂編でもお話ししていますが、簡単にいうとユニバーサルコントロールに備わっているイージスという防衛機能を使ってダイモスを倒す作戦です。しかしこれを全て起動させると世界はリセットされなくなり、ループしなくなります。

 次の周回で如月を復活させたい井田にとっては絶対に看過できない作戦です。なんとか彼女を説得しようとしますが、聞き入れてはもらえません。

 そこへ関ヶ原がやってきます。
井田は涼子先輩を利用しないことを約束する代わりにあることを依頼します。それは森村にバレないように、第三世代機兵の命令権限を井田に移すことです。

 森村はイージス作戦という危険な作戦を強行する恐れがあるので、指揮系統を移しておきたいと説明し、関ヶ原は言われた通り、機兵のシステムを更新します。

 次に井田は涼子先輩を呼び出します。そして彼女に、DD426という機兵強化プログラムを試してほしいと言います。

森村にバレないように機兵を強化して驚かせてやろうなどと言っていますが、これは真っ赤な嘘です。

 このDD426というのは、記憶野に結びつくナノマシンを強制的に剥離させるもので、徐々に記憶を失い、最悪廃人になってしまう危険なコードです。

 万が一にもダイモスに勝利しないように、そしてイージス作戦もできないようにこれで機兵を汚染してしまおうとしたわけですね。さらに足がつかないように涼子先輩を利用しました。
全ては愛する如月のためです。

ただ、涼子先輩はこのコードを自分の機兵ではなく、関ヶ原の機兵にセットしました。

彼にも井田の凄さを認めてもらうためですね。

 そしてついに、セクター2にダイモスの本格的な攻撃が始まります。この戦いには19機の機兵が参加しました。ちなみに井田の愛するキサラギは16番機に組み込まれています。

激しい戦いが続いていましたが、涼子先輩がセットしたDD426が戦場に拡散され、全ての機兵と搭乗者に感染します。

こうして井田の思惑通り戦線は崩壊し、ダイモスに敗北しました。

 森村は戦闘員を避難させるため、全機兵を強制転移させます。
ただ、転移先の設定は間に合わず皆はバラバラのセクターに飛ばされてしまいます。こうしてキサラギの16番機含め、ほとんどの機兵が行方不明になります。

井田は森村と郷登が避難する時間を稼ぐと言ってその場に残ります。

2人はこれで井田が死亡したと思いましたが、井田は密かに生き残り、水面下でリセットのために動くことになります。

 まずは、セクター4に飛ばされていた涼子先輩の元へ現れます。
彼女は警察の取り調べを受けており、機兵のことを問い詰められていましたが、井田が捜査を中止させ彼女を引き取ります。

井田は特務機構という組織を、特別顧問という形で率いています。
いつの間にそんな地位になったのでしょうかね。

こうして涼子先輩も特務機構に加わり、井田の元で働くことになります。

 そして敗戦から約半年後、セクター3で関ヶ原と密会します。彼は先の戦いでDD426に感染し、徐々に記憶が失われています。

 井田は、関ヶ原と涼子先輩のDD426の作用を取り除く代わりに、協力しろと言って、再び取引を持ちかけます。
 ただ、DD426を除去する方法はないので、今の時点で彼らの記憶をセクター0に保存しておき、一緒に次のループに連れていくことで、解決しようとしています。

関ヶ原は涼子先輩を助けるため、井田の言う通りにすることにします。

 彼に頼んだことは大きく分けて二つ。
 一つ目は森村のイージス作戦の阻止。森村はまだあの作戦を諦めておらず、最悪汚染された機兵で強行しようとしています。
 具体的な方法は指示していませんが、殺害しても構わないと井田は思っています。

 二つ目はミウラから2188年の記録を引き出すこと。
ミウラは17番機兵に組み込まれていたAIですが、強制転移の直前ドローンにAIを移しました。
井田が彼を保護しましたが、井田のやり方に反対らしく、協力はしてもらえませんでした。

 しかし井田はミウラの持っている2188年の記録を欲しがっています。この世界から脱出する方法について探るためですね。

 そこでミウラと親しかった関ヶ原に情報を引き出させようとしています。つまり関ヶ原に、友人を騙せと言っているわけですね。血も涙もありません。

 そして次は留置所に勾留されている鷹宮由貴という少女を引っ張り出し、特務機構にスカウトします。

 彼女の親は暴力団員を刺して服役中であり、今もその仲間に命を狙われています。井田は鷹宮の親を安全な刑務所に移す代わりに、特務機構に加われという取引を持ちかけます。こんなの断れないですよね。

彼女は知ったこっちゃないと言って立ち去りますが、結局この後組織に入ることになります。

 それからしばらくしたある日、セクター2の戦闘時にはなかったはずの第四世代機兵が街中を飛んでいるのを目撃します。

そしてそれを操縦していたのはなんと、網口愁。この周回で生まれた井田鉄也です。

 ここで、井田お得意の取引と言う名の脅迫をします。このままでは君は収容施設に送られるが、我々なら今回の件を穏便に処理できる。だから協力するようにと。

 網口は抵抗し、食ってかかりますが、愛する鷹宮も井田の仲間だったということにショックを受け、仕方なく言うとおりにします。

 そして井田はここでようやく、行方不明になっていた16番機兵とキサラギが軌道上にある司令船にいることを突き止めます。

キサラギは網口たちがこの世界から脱出できるように手助けしていたため、井田にとっては計画の障害になっていました。

なので井田は16番機兵を停止させるべく、セクター3のユニバーサルコントロールに向かい、司令船にアクセスします。

 そこへ網口と涼子先輩が駆けつけてきました。彼らは井田の思惑に気づき、キサラギを助けにきました。しかし鷹宮が人質にとられていて、網口は手が出せません。

 そしてここで初めて網口は、井田が前のループの自分だと知ります。
実は井田はこの周回で生まれたばかりの自分をセクター4の網口家に預けていました。
それが彼、網口愁です。

 そんなことをした理由はおそらく生体IDを保護するためです。ゲートなどの使用には生体IDが必要ですが、すでにリセットを超えて肉体を失った井田はIDを持っていません。なので彼はこれまで網口のIDを借用していました。

 網口が生まれたのはセクター3ですが、そのままではダイモスに襲われて死亡する恐れがあるので、安全で監視しやすいセクター4に移したのではないかと思われます。

 ちなみに、今回ここに鷹宮を連れてきたのは、彼女の生体IDを使うためです。網口が先日機兵を起動した際に、IDの所有権が彼に戻ってしまいました。
 涼子先輩もIDを持っていますが、キサラギとの関係を知られると面倒なので鷹宮を選びました。

 手が出せない彼らを横目にキサラギにアクセスした井田は、彼女を停止させようとします。彼女は何か大事なことを言おうとしていましたが、井田は聞く耳を持たず16番機兵は停止されました。

 目的を達成した井田は帰ろうとしますが、涼子先輩が突然ゲートを起動し、セクター4に飛ばされます。

そして彼女に銃を向けられます。

 涼子先輩は井田の研究室で記録を見て、キサラギとの関係をすでに知っていました。井田の気持ちが他の子にあると知った彼女は、井田との訣別を果たすと決めます。

こうして井田は涼子先輩に殺害されてしまいました。

 しかし、実は万が一に備えて井田は、自分の人格をコピーしたドロイドを作ってありました。
そしてとうとう井田ドロイドは最後の手段に出ます。彼は機兵適合者たちは皆殺しにして、なんとしてもダイモスと戦わせないつもりです。

まずは冬坂五百里を人質に取り、関ヶ原を誘き出します。

 しかしここで、関ヶ原から衝撃の事実が語られます。
実はもうこの世界はリセットができなくなっていました。現実世界にある施設の耐久限界が来ており、次のリセットのときに取り壊され、また新たに作り直されます。
 その際、ユニバーサルコントロールが再構築されるため、セクター0も一旦リセットされます。
ですのでもう誰も次のループに行くことはできません。

 キサラギが停止される直前に言っていたことはこのことだったのかと気づき、絶望します。その隙を突かれて、関ヶ原に打たれ井田ドロイドは破壊されました。

 こうして井田の野望は打ち砕かれ、主人公たちは未来を賭けてダイモスに立ち向かうことになります。

タイトルとURLをコピーしました