本作の真の主人公。不器用で、時に誤ったこともしてしまいますが、正しいと信じた道であればどんなイバラの道でも突き進む黄金の意志を持っています。そんな彼が主人公たちと共に世界を救うまでの軌跡を追っていきます。
※用語集の方も見ていただけるとより分かりやすいかと。
また、本編において明確に語られていない部分については私の憶測を交えてお話ししています。
ですので間違っている場合もあるかと思います。是非コメントにていろんな意見をいただけると嬉しいです。
多少、便宜的な説明をしている部分もありますが、その点はご了承ください。
YouTubeの方に、このページの内容を動画にしたものもございますので、よろしければそちらもぜひ!
それでは、本編へ参ります。
2ループ前の和泉十郎
序盤は森村編と重複するところが多いので、省略しながらお話しいたします。
時は主人公たちが活躍する世界から2つ前のループに遡り、場所はセクター1/2105年です。
彼らは今2188年の人々が行った方舟計画の最中にいます。方舟計画に関しては、冬坂編にて詳しくお話ししているので、そちらもご覧ください。
ある日、彼が住む街に突如ダイモスの群れが襲いかかってきました。
命の危険を悟ったからか、和泉は愛する森村に気持ちを伝えますが、今はこんな状況だから答えられないと言われます。ただ、森村も和泉のことを愛しています。単に状況が悪いだけということでしょうね。
ここでついに全セクターが制圧され、世界リセットが始まります。和泉と森村は、沖野に送り出され、セクター0に自分のデータをセーブしました。
こうして世界はリセットされ、次の周回が始まります。
1ループ前の和泉十郎
彼らがいるのは、セクター1/2089年のすみれ橋。
放心状態の森村を励まし、2人は16年後にやってくるはずのダイモスをどうにかするべく活動していきます。
それから約15年後、ダイモスが敷島重工の宇宙開発計画に使われるはずだった機械だということを突き止めます。
そこで2人は、敷島の研究施設に潜入して研究員を殺害し、施設を爆破しました。
しかし彼らは警察に見つかってしまい、和泉は森村を逃すために囮になります。
そして森村は無事に逃げ切れましたが、和泉は捕まってしまいました。
監獄で彼は尋問を受けることになります。囚人番号は426。のちに彼が皆から426と呼ばれるのはこれが所以です。
自白剤を使われ、彼は前のループからやってきたことや、ダイモスという怪獣の出現を阻止するため、施設を攻撃したことなどを説明したようですが、当然信じてもらえません。
そこに、彼の証言に出てきた沖野司が連れてこられます。和泉に心当たりはあるかと聞かれますが、彼は知らないと答えます。
彼はこの周回で生まれた沖野司。和泉と森村を送り出した彼とは別人です。当然、和泉とあったことなどありません。
次に、この周回で生まれた和泉十郎が連れてこられます。
当然彼とも面識はありませんが、2人のDNAが完全に一致していることから、警察はどっちかがクローンではないかと調査しています。まあこれは当たらずも遠からずですね。
ここで突然、捜査官の元へ連絡が入ります。どうやら街に避難勧告が出されているようです。
なんと和泉の証言通り、巨大な怪獣ダイモスがこの街に侵略してきました。
和泉はこのどさくさに紛れ、監獄から逃走します。
その後和泉は、ユニバーサルコントロールを解析したことで、Dコードの存在に気づきます。
Dコードはダイモスを生産して、襲撃させる命令を出すプログラムです。
このコードが生体IDを持つ15人全員のナノマシンに仕組まれていることに気づいた和泉は、ダイモスから世界を救うため、そして愛する森村を救うため、少年たちを次々と殺害します。
ただ、和泉も罪もない子供たちを殺めることにはかなり抵抗を感じています。
そこへ森村が駆けつけ、彼は止められます。
ただ、ここでは気絶しただけで、この後和泉はセクター0に自分のデータをセーブしました。
今周回の和泉十郎
結局あの後、ダイモスにより世界はリセットされ、次の周回が始まりました。
この世界が始まってから約8年後、和泉は森村と再会します。
森村は、この周回でも和泉が殺人を繰り返しているという出鱈目を吹き込まれ、その凶行を止めるために彼を探していました。
おそらくこの時点で、和泉はこの仮想世界の真実と、脱出方法を見つけ出しており、そのために動いていました。
和泉は森村を説得しますが、聞き入れてはもらえず、彼は愛する人の手によって殺害されてしまいます。
それから3年後、彼は思わぬ形で目を覚ますことになります。
前の周回で殺害しようとした井田が、セクター0に保存されていた和泉の記憶データを元に、彼をAIとして復活させました。
井田は亡くなってしまった如月兎美を復活させるために、和泉のナノマシン研究に関する情報を欲しがっており、彼を呼び起こしました。
そこへキサラギがやってきます。彼女は井田が作った如月のAIで、本物の如月兎美ではありません。
彼女は如月兎美復活計画に反対しており、2人は口論になります。仕方なく井田は一旦諦め、和泉を消去してその場を去ります。
しかし、実は井田の気づかぬうちに「消去」の設定が「転送」に変わっており、和泉のAIはキサラギのボディに入りました。
こうして彼は自由の身となり、逃走します。
しばらくセクター1に潜伏していた和泉ですが、約4年後ここに関ヶ原瑛がやってきます。彼はある事件によって、乗っていた機兵と共にこのセクター1に飛ばされてきてしまいました。
彼はどうやらDD426というプログラムに感染しているようです。
DD426は記憶野に結びつくナノマシンを剥離させるもので、徐々に記憶が失われてしまいます。
そして何を隠そうこのDD426を作ったのは和泉。元々は記憶野に結びついているDコードを、剥離させるために彼が作ったものでした。しかし和泉はこのコードを誰にも使っていません。関ヶ原が感染してしまったのは別の人物が原因です。
ここで和泉はDD426の処理を遅らせる薬を作る代わりに、このセクターから出して欲しいと、関ヶ原に取引を持ちかけます。和泉はすでにAIとなっているため、転移ゲート操作に必要な生体IDを持っていません。なので関ヶ原のIDを利用させて欲しいということですね。
無事取引は成立し、和泉は転移ゲートでセクター4に向います。
そして和泉は主人公たちをこの世界から脱出させる計画を進めます。まずは機兵を製造するため、Dコードの制御鍵を掌握します。
すでに井田たちが作った機兵がありますが、全てDD426に汚染されているため、また新たに用意する必要があります。
今現在、制御鍵を持っているのは南奈津乃。
制御鍵掌握コードを追加するため、彼女を襲います。
トイレに逃げ込んだ奈津乃を追い詰めましたが、そこへタマオがやってきます。
彼女も和泉と同じくAIで、前の周回の鞍部玉緒の記憶を元に作られました。
タマオは殺人鬼である和泉を始末しようと襲いかかってきます。ボディの性能差で圧倒されボコボコにやられる和泉ですが、タマオの一瞬の隙をついて自分のAIをタマオの体に転送します。
これが成功し、和泉はタマオのボディを乗っ取ることができました。
そこへ出てきた奈津乃に向けて、ナノマシンを打ち込みます。これで奈津乃の制御鍵を掌握することに成功し、機兵を製造できるようになりました。
さらに機兵強化拡張コードというものも追加しました。これについてはまた後ほどご説明しますが、簡単に言えば機兵を強化できるようにするコードです。これはダイモスとの戦いに勝つために極めて重要なものです。
このコードと機兵を少年たちに配るために和泉は奔走することになります。
次に和泉は相葉絵梨花と名乗って鷹宮由貴に接触し、共に行動する中でこっそり機兵と強化コードを追加します。
しかしその後、森村たちが鷹宮のコードを調べたことで、和泉の痕跡が見つかってしまいます。
そしてある日、鷹宮に呼び出され、正体は和泉十郎だと見破られてしまいます。仕方なく、彼女の記憶を改竄して忘れてもらおうとしましたが、これは森村の仕組んだ罠でした。
あっという間に周りを取り囲まれた和泉は森村に打たれ、ボディに大きなダメージを受けます。追い詰められた和泉は橋から飛び降りて、なんとかピンチを逃れます。
無事に逃げ切れた和泉ですが、流石にボディの方に限界が来てしまいます。絶体絶命かと思われましたが、そこへ偶然、この周回で生まれた和泉十郎が通りがかります。
彼はDD426によって記憶を失い、今は鞍部十郎という人間として生まれ変わっています。十郎は何事かと思って地面に倒れている、ドロイドに近寄ります。
その瞬間、和泉は彼に襲い掛かり、十郎の脳内のナノマシンに自分のAIデータを移しました。和泉お得意のやつですね。
こうして、和泉は鞍部十郎の中に潜伏して、この世界からの脱出計画を続けていくことになります。
とりあえず、和泉は柴久太という合成人格を作って十郎とコミュニケーションをとります。
和泉は十郎の記憶を改竄して、柴が昔からの友達だというふうに錯覚させます。
そしてまずは、タマオのボディをゴミ箱に処分させ、自分の痕跡を隠します。
そして、次は十郎と同棲している薬師寺恵の元へ現れます。こっちはネコの姿です。
恵は鞍部十郎が記憶を失う前、和泉十郎だった頃の恋人です。
和泉は十郎の記憶を蘇らせる代わりに、自分の仕事を手伝って欲しいという取引を持ちかけます。恵は愛する十郎の復活のため、和泉の取引に応じることにします。
手伝わせる仕事は、主人公たちに機兵と機兵強化拡張コードを配ることです。
ただ、和泉は恵に断られないように嘘を付きます。
主人公たちのことを魔法使いだと称し、彼らの持つダイモスコードを封じればダイモスが来なくなるというふうに説明しました。
和泉は彼女にナノマシンの注入銃を渡し、これで指定した人物を撃つように言います。ネコの手でどうやって渡したんでしょうかね。
最初のターゲットは郷登蓮也。
恵は覚悟をきめ、郷登を撃ちました。この銃を撃たれると前後の記憶が曖昧になるため、郷登はこのことも忘れてしまいます。
そして後日、教室で十郎と雑談します。
ただ、柴は十郎にしか見せていないため、側から見れば十郎の独り言です。
クラスメイト全員の記憶をいじるのは大変ですし、森村に見つかる恐れもあるからでしょうね。
十郎は日常に対して少し違和感を覚えているようです。
実は十郎は森村によって、和泉の記憶を移植されています。森村は愛する和泉を手にかけたことを後悔しており、彼を復活させようとしています。しかしそれによって徐々に、鞍部十郎の穏やかな人格と、和泉の過激な記憶との不適合性から人格の破綻を起こしかけてしまっています。
それに気づいた和泉は、その記憶をビデオをという客観的な形に変換して彼に見せることで、ただと夢だとして認識させます。
その帰り道、十郎の家に居候している三浦慶太郎と出会います。
十郎は帽子をとった三浦の額が光っているのに気づき、それを触った瞬間、なんと十郎の13番機兵が起動してしまいます。
これは十郎が、強制起動コードを取得したためです。このコードを取得すると、登録されている機兵が強制的に起動されます。またもう一つ、汚染回避コードも取得します。これはDD426に侵された機兵に乗っても汚染の影響を受けなくなるコードです。三浦と接触することでこれら二つのコードが取得されるように設定されていました。なぜ三浦にそんな設定がされていたのかについては三浦編、沖野編にて。
これには和泉も驚き、急いで機兵を戻すように言います。さらに十郎の記憶を改竄し、この事故はガス爆発事故だと思わせます。
その後、今度は恵に、三浦を撃たせます。
和泉は三浦に仕組まれていた機兵強制起動コードを封じると同時に、汚染回避コードをコピーし、恵の銃に追加します。
そして後日、これは和泉の活躍と言っていいのかわかりませんが、緒方の脳内空間に現れます。
緒方は沖野に命令されてDコードの制御鍵を探しており、南がそれを持っていることを知ります。
和泉は制御鍵を破壊されては困るため、沖野にはこのことを黙っているように彼を説得します。
なぜ彼の脳内空間に和泉がいたのかは謎です。南に掌握コードを打ち込んだ時に保険として仕込んでいたのでしょうか。
そして後日、網口の家に遊びに来ていた十郎。この時和泉はゲームをして遊びまくっています。
しかし実はこれは遊んでいるわけではなく、テレビを通じてキサラギと通信をしています。
彼女はとある事件により、ユニバーサルコントロールの外にある司令船におり、テレビを介して網口に接触し、彼らの脱出の手助けをしています。
キサラギの存在に気づいた和泉は、こうして脱出計画について話し合っています。
そして後日、今度は恵に網口を撃たせます。
しかし恵が彼を撃った瞬間、たった今登録した20番機兵が起動してしまいます。
実は網口は、和泉が強制起動コードを封じる前に三浦と接触しており、こうして機兵が起動してしまったわけです。
そして十郎も、この現場を目撃してしまいます。仕方なく和泉は十郎の記憶を再び改竄し、このことも忘れさせます。
この事件は世間的にはヘリの墜落事故として処理されたようです。
これはおそらく、井田がやったことですが、和泉がやったことだと思った恵は、いくらなんでもおかしいと思い、和泉を問い詰めます。
ここで仕方なく、恵の撃っている銃はダイモスコードを封じるためのものではなく、機兵を与えてダイモスと戦うゲームをさせるためのものだと説明します。
そして次は如月兎美を撃つように言います。
無事に任務を終えて帰ってきた恵、しかしどうやら十郎は冬坂の夢を見ていたようです。お年頃の男子校生だから別におかしくないだろうとか言っていますが、これは森村が移植した和泉の記憶のせいです。多分和泉もわかっていっています。意地悪ですね。
そして和泉は嫉妬に燃える恵に次のターゲットが冬坂だと告げます。
恵はやる気満々です。
その後ある日、教室で十郎と話しているところへ、如月兎美が声をかけてきます。
如月は十郎がずっと1人で喋っているのを不審に思い、柴なんてクラスメイトはいないと言います。
やばいと思った和泉は十郎の記憶を改竄し、このことも忘れさせました。
しかし今度は、街中で出会った三浦にも、同じことを言われてしまいます。無理な記憶操作を続けたせいで、十郎も柴のことを不審に思い、如月にも柴なんていないと言われたことを思い出します。
そこで和泉は仕方なく、自分が和泉十郎であり、柴久太が合成人格48Qであることを説明しますが、再び記憶を改竄しこれも忘れさせます。
しかし、もう記憶操作も限界で、すぐに十郎は柴が和泉だと思い出してしまいます。それでもなんとか騙し騙し記憶をいじっていきますが、ある日十郎が沖野に捕まってしまいます。
そこで恵に十郎を救出するよう言いますが、距離が離れすぎて消えてしまいました。
沖野のアジトで十郎は拘束され、彼の中にいる和泉は尋問を受けることになります。
ここで彼は、2188年の記録を解析して知り得たこと、そしてこのユニバーサルコントロールからの脱出計画について話します。
2188年当時、箱舟計画におけるプログラマーだった沖野司は、怪獣ダイモスというシミュレーションゲームのシステムを流用して、この世界の居住区管理システムを作りました。これがユニバーサルコントロールですね。
もちろん沖野はダイモスがやってこないように、戦闘システム関連のプログラムは封じて、この世界を設計しましたが、東雲博士によりDコードが仕組まれた結果、この世界にダイモスが襲ってきてしまっています。
ダイモスと戦うため機兵を作った彼らですが、戦闘システムは制限されたままなので、機兵の装備は貧弱です。無強化縛りですね。
和泉はこの戦闘システム制限を撤廃するコード、機兵強化拡張コードを作り、恵に配らせていました。そして彼らが機兵と戦っているうちに、司令船にいるキサラギがユニバーサルコントロールを停止させるのが、彼らの脱出計画です。
沖野は和泉の言うことを信じられず尋問が続けられますが、そこへようやく恵が駆けつけ、十郎は救出されました。
そして後日、十郎の家に関ヶ原がやってきます。彼はすでにDD426の作用によって記憶をなくしています。
記憶をなくす前、彼には和泉に、自分が記憶をなくしたら機兵を手配して欲しいと言われていたため、その約束通り彼に強化拡張コードと機兵を与えます。
そのまた後日、恵が家に帰ってくるなり、ものすごい剣幕で和泉を問い詰めます。
彼女は、このネコの正体が別世界からやってきた殺人犯であり、十郎が思い出しているのはその記憶であること、そして強化拡張コードがダイモスをも強化するコードであることを知り、自分は騙されていたんだと思ってしまいます。
ただ、和泉の記憶を移植していたのは森村であり、彼が自分にならないよう、記憶をただの夢に変換していたのは他でもない和泉です。
強化拡張コードは確かにダイモスも強化されますが、これがなければまともに勝負できません。
なので初めから和泉は恵を騙すつもりなどありません。
そして最後に恵が最後の機兵適合者だと告げます。皆を戦いに巻き込んでしまった罪悪感に駆られた彼女は自分を撃ち、最後の機兵が登録されました。
気を失った彼女に和泉は最後の挨拶をします。
そこへ十郎が戻ってきて、自分の中にある、とある記憶について話します。それは機兵に乗っていた記憶です。和泉自身は機兵に乗ったことはないので、これは間違いなく恵が愛していたこの周回の和泉十郎の記憶です。
実は和泉は恵との約束通り、破壊されてしまった彼の記憶を精一杯復元しようとしていました。
これでようやく恵の誤解も解けます。
そうしてとうとう、最後に残るセクター4にダイモスがやってきました。戦いが始まり、十郎が機兵を起動すれば十郎のナノマシンが和泉のAIを処理する領域がなくなるので、あとは彼らの戦いを見守るだけです。
こうして世界の命運は彼らの手に託されます。