薬師寺恵の一生

十三機兵防衛圏

十三機兵防衛圏の主人公の一人、薬師寺恵の一生を追いながら本作のストーリー解説して行きます。

 頭が良くて、もの静かな女子高生。内気で寡黙なため誤解されやすいですが、その実白馬の王子様を本気で待ってるのほほん娘。

そんな彼女が機兵に乗って戦い、未来を勝ち取るまでの軌跡を追っていきましょう。

用語集の方も見ていただけるとより分かりやすいかと。
また、本編において明確に語られていない部分については私の憶測を交えてお話ししています。
ですので間違っている場合もあるかと思います。是非コメントにていろんな意見をいただけると嬉しいです。
多少、便宜的な説明をしている部分もありますが、その点はご了承ください。

YouTubeの方に、このページの内容を動画にしたものもございますので、よろしければそちらもぜひ!

2188年の薬師寺

当時は8歳の少女でした。

 彼女は地上で起きたナノマシン汚染に巻き込まれてしまい、宇宙船のコロニーに避難します。
しかし、そのコロニー内でも徐々に汚染が広がっていきます。恵は父親の薬師寺望に連れられ、唯一汚染されていないセクター4に避難しようとします。

 ただ残念ながら、この時点で既に望のナノマシンは汚染されており、中に入れてもらえませんでした。せめて恵だけでも入れてくれるように頼みましたが、潜伏期間かもしれないと言って断られます。

そこへ望の上司である和泉十郎が駆けつけ、ある提案をします。

 それは小型のシャトルを出して、コロニーの外で和泉が恵を受け取り、24時間経っても症状が出なければ、中に受け入れるというものでした。
 結局症状は出ず、無事に恵はセクター4に受け入れられました。

 ここで残った人々は人類再生計画、通称箱舟計画を実行します。この計画は、人間の遺伝子と探査機を宇宙に向けて飛ばし、別の惑星で新たに人類を繁栄させる計画です。計画の詳細に関しては緒方編冬坂編をご覧ください。

箱舟は無事に飛び立ちましたが、とうとうセクター4内にも汚染者が出てしまいます。

 その後の恵の顛末に関してはわかりませんが、考えられるのは、その汚染によって死亡したか、さらに後に起きた銃撃戦に巻き込まれて死亡したかです。

個人的には汚染によって亡くなったと思っています。

 ここからは想像ですが、和泉が恵を引き取った後、女の子の世話が任せられそうな鞍部博士か鷹宮教授あたりに預けたのではないでしょうか。
 そしてこの2人は、汚染によって亡くなったと考えられています。それで一緒にいた恵も感染してしまったのではないかと思っています。

 その後に起きた銃撃戦に関してですが、これは残りのエネルギーの利用方法についての議論の末に起きたものです。
 この議論に8歳の女の子を参加させていたかどうかは正直微妙なところです。これらを踏まえた上で、恵は汚染によって亡くなったと考えています。

 またそもそも、セクター4内に汚染を持ち込んでしまったのは誰なのか、という疑問ですが、これは恵か鷹宮が持ち込んだと考えられています。
 最後にセクター4に入ってきたのはこの2人のうちどちらかです。ただ、恵を引き取った和泉は、その後の銃撃戦の時まで生きているので、少なくとも恵がセクター4に来た時は感染していなかったのではないかと思っています。
 なので、個人的には鷹宮が持ち込んでしまったと考えています。

現在の薬師寺

セクター3出身。

 学校の帰り道、親友の如月兎美と一緒に歩いています。恵はなんだか落ち込んでいるようです。彼女は内気な性格で、なかなか周りの人と打ち解け得られず悩んでいます。如月はそんな彼女のよき理解者で、恵を心配してくれています。

 俯きながら歩いていると、突然空が光り出し、なんと巨大なロボットが降ってきます。
さらに光の中から少年が出てきました。

 彼の名前は和泉十郎。未来からやってきたそうです。彼はこの機兵というロボットに乗ってダイモスという怪獣と戦っていましたが、戦闘中に突然ここに飛ばされてきたようです。

十郎はこのセクター3で療養しながら生活することになり、その間に恵と恋仲になります。

 しかしその約半年後、セクター3へダイモスの侵攻が始まります。十郎は恵の街を守るため、たった1人で出撃します。

ただ、実は機兵はウイルスに侵されており、長時間の操縦は危険です。

 数分でも脳に相当の負荷がかかりますが、十郎は2時間近くも戦っていました。しかしとうとう力尽き、結局街はダイモスに破壊されてしまいます。

 汚染された機兵で無茶をしたため、十郎の症状は一気に進行し、彼の記憶は完全に破壊されてしまいました。

恵は森村に連れられ、十郎と共にセクター4/1985年に避難してきます。

 記憶を無くした十郎は、タマオという女性から全く別の人格と記憶を新たに移植され、治療を受けます。こうして和泉十郎は、鞍部十郎という新たな人間として生まれ変わることになります。
 恵の好きだった和泉はもういなくなってしまいました。さらに、十郎の新しい人格はまだ不安定で、危険だから近づくなと言われてしまいます。

 一緒にセクター4に逃げてきた如月は、十郎の様子がおかしいことを不思議に思い、恵に十郎の容体を訪ねます。そこで如月も彼の記憶がなくなってしまったことを知りました。

恵は十郎のことは絶対に諦めたくないと涙を流します。

そして新学期が始まり、恵は十郎、如月とともにセクター4の咲良高校に通うことになりました。

しかし記憶を無くした十郎が他の女子と仲良く話していても、見ていることしかできません。

そんなある日、森村から14番機兵のパイロット候補としてあてがわれます。

 元々の14番機兵パイロットである涼子先輩も、十郎と同じようにウイルスに感染しており、戦える状態ではありません。なので恵が次のパイロットに選ばれました。がしかし涼子先輩はそれを断固拒否します。どうやらこの14番機は彼女に取って大切なもののようです。
 そんなに乗りたければあんたが十郎の代わりに戦えばよかったんだと、やるせない気持ちを涼子先輩にぶつけます。

 後日、十郎が記憶を無くしたことを悲しんで泣いていました。それをかわいそうに思ったタマオは彼女に、とあることを条件に十郎の住む鞍部家の賃貸契約書を渡します。

 1つ目の条件は彼を鞍部十郎として扱うこと、2つ目は自分のことを和泉だと言いだしたらすぐに報告することです。ただタマオも完全な善意でやった訳ではなく、十郎の様子を近くで監視してもらう目的もありました。恵はこれを承諾し、契約書を受け取ります。

 そしてそのまま十郎の家へ押しかけます。動揺しまくる十郎をよそに、そのまま同棲することになります。

 さらに後日、近所に住んでいる奈津乃が三浦という男子を連れてきて、匿ってほしいと言ってきます。

 実は三浦も恵と同じように別のセクターからきた人間で、住む場所がなくて困っていました。こうして同居人がまた増えることになりました。賑やかですね。

そんなある日、急に喋るネコに話しかけられます。

 その猫はなんと、消滅してしまった和泉十郎の記憶を再生させることができるそうです。猫は十郎の記憶を戻す代わりに、自分の仕事を手伝ってほしいという契約を持ちかけます。仕事とは指定した人物に魔法の銃を打ち込むというものです。十郎のため、恵は契約を受け入れ、このネコにしっぽという名前をつけて、一緒に活動することになります。

 魔法の銃というのは実はナノマシンの注入銃で、これを打ち込まれると脳内のナノマシンにあるコードが追加されます。追加コードは2つ。機兵操縦コード機兵強化拡張コードです。操縦コードはその名の通り、機兵を動かすことができるようになるコードです。強化拡張コードは、機兵を強化できるようにするコードです。

 この世界は実は、とあるゲームのシステムを流用して作られた仮想世界です。ダイモスが襲ってきてしまうのはそのゲームシステムの誤作動が原因です。ただ、機兵の強化システムはノンアクティブなので、レベル1のまま戦わなくてはなりません。その強化システムをアクティブにするのが、機兵強化拡張コードです。

 しっぽは、このコードを機兵適合者に配り、彼らをこの仮想世界から脱出させるのが目的です。本来ならば機兵適合者である主人公たちが20歳になった時点でこの世界から出られるようになっていますが、ダイモスがこの世界の管理システムを攻撃して、みんなが出る前にリセットさせてしまいます。
 つまりしっぽは、主人公達を助けようとしている訳ですね。

 しっぽから命じられた最初のターゲットは郷登蓮也。話があると言って彼を呼び出します。いざやるとなると、二の足を踏んでしまう恵ですが、愛する十郎のため郷登を銃で撃ちます。

 これで郷登に22番機兵登録コード機兵強化拡張コードが追加されました。この銃を撃たれると前後の記憶が曖昧になるようで、郷登はこのことを忘れてしまいます。恵はこの隙にその場を去りました。

 次のターゲットは同じ家に住む三浦慶太郎。なんとか彼にも銃を撃ち込むことに成功します。彼はすでに19番機兵の操縦コードを持っているので、強化拡張コードだけが付与されます。

 ただ、実は三浦のナノマシンにはとある設定がされていました。それは三浦に触れた人物に汚染回避コード機兵強制起動コードを付与するというものです。

 1つ目の、汚染回避コードは、ウイルスに侵された機兵に乗ってもその影響を受けなくなるコードです。2つ目の、強制起動コードはそれを持った人物に機兵が登録されるとその機兵が強制的に起動してしまいます。なぜ、三浦にこんなコードが仕組まれていたのかについては三浦編にでお話ししています。

 この時しっぽは、三浦に仕組まれていた2つのコードを封じます。これで拡散されなくなりました。
そして同時にしっぽは汚染回避コードを横取りし、恵の魔法の銃に追加します。

 次に恵は、捕まっている緒方稔二を救出しに行き、彼に銃を撃つよう言われます。
緒方が捕まっている廃工場に着いた恵。中に入ろうとしましたが、比治山にとめられます。ここは彼のアジトのようです。

 恵は仕方なく比治山に向けて発砲します。これで比治山にも、強化拡張コード汚染回避コードが追加されました。ちなみに操縦コードはすでに持っています。

 倒れている比治山を横目にアジトに潜入した恵、そこで機械に繋がれている緒方を発見します。そして彼を救出すると同時に魔法の銃を撃ちました。

こうして緒方にも例のコードが追加され、10番機兵が登録されます。

 後日、廊下で十郎と冬坂が親しげに話しているところを目撃します。それに対して、嫉妬の炎をメラメラと燃やします。

冬坂がターゲットだったら良いのに、なんてことも考えているかもしれません。

次のターゲットは関ヶ原瑛。旧校舎にいるであろう彼の元へ向かいます。

しかし彼に気づかれてしまい、逆に銃を向けられてしまいます。仕方なくここは撤退します。

 その後日、郷登から十郎との同棲について問い詰められます。彼はもう、恵の知っている和泉十郎ではなく、鞍部十郎であり元に戻すことはできないから諦めるように言われます。

 また、十郎の人格は未だ安定していないため、恵に危険が及ぶ危険性もあると忠告されます。
ただ実は、この会話は十郎に聞かれてしまっていました。
 十郎は自分の正体に疑問を持つと同時に、恵が好きなのは自分ではなく、和泉十郎であることを知ってしまいます。

 次にしっぽから聞かされたターゲットは網口愁。校門の前で、彼に声をかけ、2人きりで話がしたいと言います。そして放課後、屋上で会う約束をします。

十郎は複雑そうな顔をしていますね。

 そして放課後。網口はどうやら告白されると思っていたようですが、もちろんそんな話をしにきたのではありません。早速恵は銃を取り出し、網口に向けて発砲します。

 これで網口に20番機兵が登録されます。しかし彼はすでに三浦と接触して、強制起動コードを取得していたため、20番が強制起動してしまいます。網口は、しっぽが三浦の強制起動コードを封じる前に、彼に接触していました。つまりこれは不慮の事故ですね。
 まあとにかく、網口にコードを追加することには成功しました。

 そしてなんと次のターゲットは親友の如月兎美。親友を撃つことにかなりの抵抗を覚え、もう友達を名乗る資格がないと考えてしまいます。

 しかし恵は覚悟を決め、食堂で人混みに紛れて彼女を後ろから撃ちました。これで如月に16番機兵が登録されます。

 家に帰ると十郎が、寝ていました。ただ彼はこともあろうに冬坂の夢を見ていたようです。恵は激しく嫉妬します。彼のために頑張っているのに悲しいですね。

が、同時にしっぽから次のターゲットが待望の冬坂五百里であると告げられます。

 恵はウキウキしながら冬坂に話しかけ、彼女を女子トイレに連れ込みます。
そして嫉妬心に任せて彼女を撃とうとしますが、恵はそんなに悪い子ではありません。
十郎のためではなく、自分のために人を撃っているのだと認め、覚悟を決めた上で任務を全うします。

 これで冬坂に機兵操縦コードが追加されます。この時はまだ機兵の登録はしていません。彼女は後で別の人から機兵を譲渡されます。

 後日森村と話していると、十郎が近づいてきて、自分は本当は和泉十郎なのではないかと言い出します。

十郎も何かに気づき始めているようです。

その直後、しっぽから十郎が連れ去られてしまったと聞かされます。

沖野達に囚われていた十郎の元へ駆けつけ、助け出します。

 そろそろ和泉十郎の記憶が戻ってきてるだろうと思って、聞いてみますが、なんと十郎が思い出しているのは自分の知ってる和泉の記憶ではないことを知ります。

 実はこの世界は何度もリセットが繰り返されており、彼の中にあるのはリセットを超えてきた前の周回の和泉十郎の記憶です。

 悲しみに暮れる恵は、あやめ公園で、小さな女の子と出会います。そこには郷登もいました。そして彼から、自分が今まで撃っていたのはダイモスを強化するコードであると告げられます。

これで自分がしっぽに完全に騙されていたのだと思ってしまいました。

 が、しかしこれは郷登の勘違いで、ダイモスを強化するコードというのは半分は会っていますが、半分は間違っています。確かに強化拡張コードはダイモスゲームの強化制限を取っ払うので、ダイモスを倒すたびに敵が強化されていきます。ただそれに応じて機兵を強化していけばきちんと勝負できます。ダイモスは大群ですので、むしろ制限を取り払わなければ絶対に勝てません。

 そして恵にこのコードを配らせていたしっぽの正体は、リセットを超えてきた和泉十郎。彼はダイモスとの勝負に勝ち、主人公達をループし続ける世界から脱出させるのが目的です。今はすで意識だけのAIとなって十郎の中のナノマシンに寄生しています。彼は正体がバレないように猫の姿で恵に話しかけていたというわけです。

 家に戻った恵はしっぽ、和泉十郎を問い詰めます。しかし騙していたわけではないとシラを切られ、そして薬師寺恵が最後のターゲットであると言われます。

 恵は自分が皆を戦いに巻き込み、親友まで撃ったのに騙されていたことに絶望し、自分のしてしまったことの大きさに押しつぶされます。そして自分で責任を取るために自分を撃ちました。
これにより最後の機兵、23番機兵が恵に登録されます。

 目が覚めた恵の前には十郎がいました。彼は恵に想いを告げます。実は彼には、機兵に乗っていた記憶があり、その記憶の中で十郎は、恵の名を叫びながら鬼神の如く戦っていました。これは間違いなく、恵の知っている和泉十郎の記憶です。実はしっぽは、約束通り和泉十郎の記憶を復元してくれていました。

恵は、次の戦いでは守られるだけではなく、自分も十郎を守るために一緒に戦うことを決意します。

 そしてとうとうセクター4に、ダイモスが侵攻してきます。
恵は23番機兵を呼び出し、愛する十郎とともに最終決戦に参加します。

崩壊編へ続く。

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