十三機兵防衛圏の主人公の一人、網口愁の一生を追いながら本作のストーリー解説して行きます。
自分はいつでも女の子の味方だと豪語するプレイボーイ。イケメンでスポーツ万能、勉強もできておまけに家がお金持ち。と天に二物も三物も与えられたスーパー高校生。
そんな彼が機兵に乗って戦い、未来を勝ち取るまでの軌跡を追っていきましょう。
※用語集の方も見ていただけるとより分かりやすいかと。
また、本編において明確に語られていない部分については私の憶測を交えてお話ししています。
ですので間違っている場合もあるかと思います。是非コメントにていろんな意見をいただけると嬉しいです。
多少、便宜的な説明をしている部分もありますが、その点はご了承ください。
YouTubeの方に、このページの内容を動画にしたものもございますので、よろしければそちらもぜひ！
それでは本編へ参りましょう。
2188年の網口（井田）
この時点での名前は井田哲也。具体的な職業はわかりませんが、箱舟計画においてプログラミングの担当をしていたと思われます。
同じく計画に携わる東雲涼子とは交際していましたが、実は井田にその気はありませんでした。計画関係者に近づくために、彼女を利用していただけだと思われます。
井田はおそらく箱舟計画を潰そうとする郷登蓮也に送り込まれたスパイで、計画の状況などを郷登に報告していました。
しかし、そんな中、地球ではナノマシンの汚染が拡大、人類がほぼ壊滅してしまい、それどころではなくなってしまいます。
ここで生き残っている最後の15人は、その遺伝子を乗せて箱舟計画を実行に移すことになります。箱舟計画について詳しくは、緒方編、冬坂編などでもお話ししてます。
井田が箱舟システムの見直しをしている際、最終工程が一部書き換えられているのを発見します。
書き換えたのは和泉十郎。成長した森村千尋のクローンに、森村博士の記憶がダウンロードされるようになっていました。それを郷登に報告しますが、もうこの時点ではこんな報告には意味はありません。和泉がなぜそんなことをしたのかについては十郎編にてお話ししてます。
その後、箱舟は無事に飛び立ちましたが、残りのエネルギーの扱い方で意見が対立していまい、銃撃戦に発展してしまいます。
井田と、交際相手の東雲はその場から逃げ出し、助かりましたが、それ以外の人たちは全員亡くなってしまいます。こうしてとうとう人類の生き残りはたった２人だけになってしまいます。
東雲は、最期は2人でゆっくり静かに過ごし、一緒に心中したいと提案します。しかしここで井田は本性を表し、利用するために近づいただけだと暴露します。当然心中も拒否し、冷たく突き放しました。おそらく井田は、それに激昂した東雲に殺害されたのだと思われます。
これで人類を見限った東雲博士はとある凶行に走りますが、それに関しては東雲編も見ていただければ。
現在の網口
時を打って変わって1985年。咲良高校に通う１年生です。
出身はセクター３/2000年代ですが、育ったのはセクター４/20世紀後半です。
新学期早々、最近妙な夢に悩まされていました。それを友人の鞍部十郎に相談したところ、不思議なことに十郎も似たような夢を見ているという。さらに十郎と同じクラスの冬坂五百里まで同じような夢を見ていました。
どうやら、その夢には網口そっくりの少年や戦車が出てくるようです。
この夢に関しては冬坂編でも詳しくお話ししているので、かいつまんでお話しします。この夢の出来事は今五百里たちが生活している周回より、１つ前の周回、つまり１ループ前の網口が体験したことです。今後の説明にも１周前、２周前という言葉が出てきますが、全て今五百里達がいる周回を基準に数えています。
1周前の世界、網口達のいるセクター４がダイモスに制圧され、リセットが起ころうとしています。ちなみに網口は前の周回では、井田鉄也という名前でした。
リセットの直前、井田はセクター０という避難領域へ転移しようとします。このセクター０だけはリセットされないため、次のループに行くことができます。こうして、井田は１つ前の周回から今周回にやってきました。
これが今回の夢の内容です。これ以降この３人は妙な夢を見たらそれを共有して話し合うようになります。
そして後日、街で不良に絡まれている女子高生を見つけます。困っている女子を見捨てておけない網口は、その不良を殴り、その女子をバイクに乗っけて逃げます。
彼女の名前は鷹宮由貴。同じく１年生で、今度咲良高校に転校してくるそうです。網口はこれは運命の出会いだと言って喜んでいます。実際これが運命の出会いとなります。
そして網口は無事に鷹宮を送り届けました。帰ろうかと思った矢先、ふと咲良高校の養護教諭の森村千尋が、敷島重工のビルに入っていくところが目に入ります。
如月編でもお話ししましたが、森村は敷島とつながりを持っています。網口は、学校の先生とそんな大企業にどんな関係があるのかと不思議に思いました。詳細は郷登編か森村編にてお話し致します。
そしてしばらくは妙な夢を見つつも、普通に過ごしていました。
そんなある日、いつものように妙な夢を見てしまいます。そのせいで夜中に目が覚めてしまった網口はテレビが付けっぱなしになっているのに気づきます。
彼はテレビを消しますが、なぜか再び勝手に付いてしまいます。故障かと思いましたが、突然アイドルの因幡美雪が映し出されました。
変な番組だと思っていましたが、なんと彼女は網口に呼びかけてきました。どうやら助けを求めているようです。しかしすぐにテレビは消えてしまい、詳しい話は聞けませんでした。
そして後日、緒方と町を歩いているとき、とある男子と出会います。彼の名前は三浦慶太郎。彼は突然緒方の髪型を珍妙だと言い出し、それに緒方が怒って三浦を殴り、気絶させてしまいました。
仕方なく、網口は倒れた三浦をタクシーで家まで連れて帰ります。この時、網口は三浦に触れたことで、機兵強制起動コード、汚染回避コードを取得しました。
網口や三浦の脳内にはインナーロシターと呼ばれるナノマシンが埋め込まれており、そのインナーロシターにこれらのコードが追加されました。これら２つのコードに関しては緒方編、三浦編などでもお話ししてますので割愛します。
それから数日後、三浦と校舎で再会。そこで三浦が夢に出てきたことを思い出します。
この時思い出した夢は、１周前の網口、すなわち井田が体験した出来事です。
彼の住んでいたセクター３が、ダイモスに襲撃され、壊滅してしまいます。生き残った井田と如月は、ダイモスから身を隠しつつ、起こった出来事を整理します。
このセクター３はユニバーサルコントロールが制圧されてしまったため、それに管理されている人たちは一斉に消滅してしまいました。ダイモスに関しては、ひたすら街を破壊した後は、ただウロウロしているだけです。井田は奴らの目的は何なのかと考えています。如月は、こんな状況でも冷静な井田に感心します。
井田は如月のことが好きで、配信者として活動する彼女のことを熱心に応援していていました。
如月も井田のお陰で本格的に歌い手として活動を始めたようです。この時から2人は恋仲になります。
そしてそこに三浦慶太郎が駆けつけ、2人は救助されました。
ストーリー上はここで初めて、自分が井田鉄也だと名乗ります。初見では驚くシーンですね。
そして翌日、次は冬坂と再び夢の話を共有します。
今回はセクター１にある井田の研究室での記憶です。井田はキサラギというAIと話しています。
１つ前のリセットの際、つまり１周前から今周回に飛ぶ際、井田とは別に如月、三浦、比治山、玉緒の４人も一緒にセクター０に避難したはずでした。しかし転移の際事故が発生し、彼ら４人のデータは正常に保存されず、今周回には飛んで来れませんでした。ただ、井田は事故があったことには気づかず、当初、彼らが今周回に現れなかったことに困惑していました。
そこで井田は、セクター０に一部保存できていた如月兎美の人格データから、キサラギというAIを作りました。それには約8年かかったそうです。
井田は4人が和泉十郎、通称426に殺害されたと考え、それを森村に伝えました。事実確認はしていませんが、井田は以前、426に殺されかけたことがあるため、彼がやったと決めつけました。それを聞いた森村は、これ以上犠牲者を出さないため、和泉十郎を殺害したそうです。
これがこの記憶の中でのやりとりの内容です。
そして後日再び、テレビを通じて因幡美雪に話しかけられます。
彼女はユニバーサルコントールの外からアクセスしているため、異物として見做され、普通にやってもアクセスを拒否されてしまいます。そのため、放送コンテンツとして偽装して網口と交信しているようです。しかしそれも長時間は続けられないため、１回の交信で話せる時間は限られているようです。
そして翌日、いつものように妙な夢を見ます。
今度も井田の研究室での出来事。今回は井田と426とのやりとりです。
井田はキサラギを生身の人間として復活させたいと思っています。方法は、今周回の如月兎美のインナーロシターに、キサラギの人格データを移植するというものです。
そのため、以前インナーロシターの研究をしていた426の人格データをドロイドに移して、彼から話を聞こうとしています。
しかし彼が素直に情報をくれるはずもなく、井田は拷問を始めます。どうやら今回が初めてではなく、これまでも何回か426から話を聞いていたようです。
そこへキサラギがきます。彼女は森村から、如月兎美復活計画のことを聞いたそうです。
キサラギはそれに猛反対しています。もう1人の自分から肉体を奪って生き返るなんて恐ろしい計画は絶対に許さないと、キッパリ言いました。
その様子を見て426は最初から黙って肉体に移せばよかったんだと、横槍を入れます。井田は426を黙らせるため、一旦消去することにします。
消去が完了し、井田はその場を去りますが、実は消去の瞬間、426がシステムに侵入し、「消去」の設定を「転送」に切り替えていました。
これにより、426の人格データは如月のボディに入り、426は自由の身となりました。
というのが今回の夢の内容です。
網口はこんな夢を見たせいで、また夜中に目が覚めてしまいます。
そして因幡美雪が話しかけてきました。ここで彼女から、重大な事実を聞かされます。
今まで見てきた夢は井田鉄也の記憶であり、井田の目的を探るため、彼の記憶を見せているようです。
網口に井田の記憶を移植したのは、森村ですが、それをビデオという客観的な形に変換して網口に見せています。
網口にビデオを渡していたのは、和泉十郎、通称426と呼ばれる人物です。426は今、鞍部十郎のナノマシンに寄生しています。
426は十郎を頻繁に網口の家に来させて、因幡と連絡をとっていました。因幡と426は、主人公たちをこのループし続ける世界から脱出させるべく画策しています。ただ、その様子は、網口からはただ普通にゲームしたりビデオを見てるように見えています。
またさらに、網口たちは今、箱舟計画というプロジェクトの最中におり、今住んでいる空間は直径30kmしかない居住区だそうです。
毎日、外国からのニュースも飛び込んできているのに、そんなはずはないと網口は言いますが、この世界を管理するユニバーサルコントロールが、よりリアルな地球体験をさせるためにそう見せているだけで、この世界に外国なんてものはありません。
因幡は、とにかく自分の目で確かめてきてほしいと言ってこの日の会話は終わります。
翌日、食堂で鷹宮と出会い、彼女をデートに誘います。最初は断られましたが、なんとか押し切り、2人は鷹宮の祖母の家まで行くことになります。
祖母の家は隣の県にあり、距離にして約100km。そこに行けば因幡の話を確かめられると思い、早速鷹宮を連れていきます。
道すがら、祖母との思い出に付いて話していましたが、これも実はユニバーサルコントロールが作った虚構の記憶です。
そうしてとうとう、因幡と言う通り外壁に到達してしまいました。目を疑う光景に2人は驚愕します。
このことから、街の外の記憶は全て嘘なのではないかと考えに至ります。
後日、校門の前で、薬師寺恵に2人きりで話がしたいと言われ、放課後、屋上で会う約束をします。ドキドキしますね。
そして放課後。網口は、今は好きな人がいるので、もしそういう話なら、ごめん、と断りました。が、しかしそんな話をしにきたのではないそうです。
改めて要件を聞くと、なんと突然、彼女は銃を取り出し、網口に向けて発砲します。
それに驚く間も無く、いきなり20番機兵が起動してしまいます。
この出来事についてご説明します。
この時恵が撃ったのはナノマシンを打ち込む銃で、網口に20番機兵登録コード、機兵強化拡張コードが追加されました。
そして機兵が登録されたと同時に、三浦から取得していた機兵強制起動コードが発動し、20番機が強制的に召喚されたということです。
強化拡張コードに関しては、十郎編にて詳しくお話ししています。
そのまま網口は、居住区の外まで飛んでいってしまいます。ただ、少ししか飛んでいないのに宇宙空間のような場所に出てしまいました。もうこれで、この世界が小さな居住区であることは疑いようがありません。
そこに因幡が現れ、なんとか居住区の中に戻るように言われます。
どうにか人気のないところに不時着しましたが、一部始終を井田に目撃されてしまいます。彼は、この事件を秘密裏に処理する代わりに、我々に協力するようにと、網口を脅します。
網口は抵抗しますが、鷹宮も井田の仲間で、生徒監視のため井田によって咲良に送り込まれたことを知り、驚愕します。
それからというものは、井田の部下に監視されながら過ごしていました。
そんなある日、再び因幡から交信が入ります。どうやら、因幡は井田に見つかってしまい、このままでは消されてしまうので、助けてほしいと網口に頼みます。
とにかく、知ってることをちゃんと話してほしいと頼むと、ここでようやく彼女は自分の正体と目的を明かします。
彼女の正体はキサラギというAI。夢にも何度か登場してますね。キサラギは16番機兵に組み込まれていましたが、とある事件により、現実世界にある司令船に転移してしまいました。
今は、その場所から網口たちをこの世界から脱出させる手助けをしています。
しかし井田は、この世界をリセットさせて次のループに行きたいと思っているため、彼らの脱出を手伝うキサラギが邪魔です。
最後に機兵を隠すように言って通信が途切れてしまいます。
網口はどうしたらいいかよくわかっていませんが、とにかく機兵の場所に行ってみることにします。
そこへ東雲が現れ、いきなり銃を突きつけられました。
網口は、井田を止めるため、今はそれどころじゃないと涼子先輩に伝えると、彼女は銃を下ろします。どうやら目的は一緒のようです。
そして2人は、隠してある20番機兵の元へ向かいます。機兵には別のセクターに転移する機能があり、それで井田の元へいけるそうです。
こうして2人は、セクター３の中枢へと向かうことになります。
なんとか井田の元へ辿り着いた2人。そしてついに網口は１ループ前の自分と対峙することになります。
しかし、鷹宮が人質に取られていたため、手が出せず、残念ながらキサラギの16番機兵が停止させられてしまいます。用が済んだ井田は帰ろうとしましたが、どさくさに紛れて涼子先輩が転移ゲートを動かし、井田と鷹宮をセクター４に転移させました。
取り残された網口は帰る方法を失ってしまいます。機兵の転移設定は涼子先輩がやったので、網口はやり方を知りません。なんとかゲートを動かそうと悪戦苦闘していた彼ですが、そこへ、なんと奈津乃がやってきます。そして彼女の手助けにより、元のセクター４に帰ることが出来ました。
後日、キサラギを助けるため、再びセクター３にきていた網口と奈津乃。そこへさらに如月と沖野がやってきます。彼らもキサラギと通信するため、ここにやってきました。網口が事情を話すと、沖野はその権限を使い16番機兵を再起動させます。16番機兵を作ったのは沖野であるため、機兵に対する強い権限を持っています。
そして如月の生体IDにより、キサラギとの通信が繋がりました。
ただ、彼女のいる司令船はこの星の軌道上を周っており、通信が届く範囲にいる時間は限られています。キサラギは、このユニバーサルコントロールに管理された世界から脱出する方法を見つけていますが、それを詳しく説明する時間はなさそうです。
彼女は、とにかく機兵に乗ってダイモスと戦ってほしいと彼らに頼みます。
そして、とうとうこのセクター４にダイモスの侵攻が始まります。
網口はキサラギとの約束を果たすため、そして好きな人を守るため20番機兵に乗って戦います。
崩壊編へ続く。
